親も生活保護なら子どもも生活保護!?生活保護世帯の世襲化とは?

生活保護に関して、不正受給や逆に受給したくても受給出来ない人がいるなど、

たくさんの問題が生じているのは皆さんご存じかと思います。

 

中でも注目されているのが、「生活保護受給世帯の世襲化」です。

ある家庭を例にあげてみます。

 

「うちのお父さん、今日が給料日なんだ!」

そう嬉しそうに話すのはAくん、小学4年生の男の子です。

何でも「給料日」に家族揃って外食に行くのが月に1度の楽しみだとか。

家族の仲が良くて微笑ましく見えますね。

 

だけど、そのお父さんが会社勤めしている様子は見られません。

自営業者という訳ではないみたいですし、一体どこから給料が出ているのでしょうか?

 

実は、Aくんの家庭は生活保護受給世帯。

Aくんが言う「給料日」とは「生活保護支給日」だったのです。

 

言うまでもありませんが、生活保護は何らかの事情で経済的に困窮している人や

世帯に支給される公的扶助制度であり、「給料」ではありません。

しかし、生活保護のことを「給料」、

生活保護支給日のことを「給料日」と呼ぶ家庭が存在するのは事実です。

 

そのように呼ぶ理由は「子どもに生活保護を受給していることを隠したいから」など様々ですが、

生活保護受給世帯の親も生活保護受給世帯で育ったケースが結構あります。

 

実際、Aくんの父・Bさんも生活保護受給世帯で育ちました。

Bさんは成績優秀だったため、中学卒業後は高校進学を希望していましたが、

受給した生活保護から教育費を捻出する余裕がなかったことなどから高校進学を諦めた過去があります。

そのため、中学卒業後は就職することに決めましたが、

最終学歴が中卒のBさんはなかなか就職することが出来ませんでした。

 

その後、知り合いの紹介で日雇いの仕事をすることになりました。

しかし、日雇いの仕事は毎日仕事があるとは限らず、収入も不安定でした。

結果、経済的に困窮したBさんは両親と同じように生活保護を受給し、現在に至っています。

 

Aくんの家庭は、少なくとも祖父母の代から生活保護を受給して生活していますが、

何故生活保護受給世帯の世襲が起こってしまうのでしょうか。

 

生活保護の受給額は、子どもが多ければ多いほど増えます。

受給額は多くなりますが、家族が多いために食費などに使ってしまえばお金はなくなり、

子どもの教育費を捻出する余裕がなくなります。

その結果、子どもは高校や大学などの高等教育を受ける機会が少なくなり、

就職が難しくなったり収入の不安定な職種で働くことになります。

 

中には、働かなくてもお金がもらえることを親を見て学び、

最初から働くことを放棄して生活保護を受給する人もいます。

このことが、生活保護家庭の世襲化を引き起こす要因になっているのは間違いないでしょう。

 

生活保護受給の世襲化が進めば進むほど生活保護受給者が増えるため、

生活保護のために必要な財源の確保が厳しくなります。

そうなると、本当に困窮し生活保護を必要としている人に支給出来ない可能性が高くなってしまいます。

つまり、生活保護受給世帯の世襲化は自治体やそこに住む人、受給している本人にとっても

悪影響が出る危険性があります。

 

生活保護を受給していることは、決して悪いことではありません。

しかし、「何のために生活保護を受給しているのか」、「生活保護の財源がどこにあるのか」

を受給している本人がよく考える必要があり、

生活保護受給世帯の世襲化を防ぐために努力しなければならないことはあるのではないでしょうか。



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