底辺生活からの脱出

僕は普通の四年制大学を卒業し、プログラミングが好きだったこともあって、

IT系の中小企業に就職しました。

 

仕事自体は楽しく、毎日が大変ではありながらも、充実していました。

でも、そんな日々を送っている中で、独立して自分がどこまでできるのかを試したい、

そんな気持ちが湧き上がってきていました。

そして、僕は意を決して会社を退職し、独立してフリーランスの道を選んだのです。

 

そんな時に発生したのが、リーマンショックです。

その影響か、それとも自分の経験不足のためか、仕事量は想像していた以上に少なく、

家賃や光熱費を稼ぐのがやっとで、食費は夜間の運送会社でアルバイトをして稼いでいました。

今思えば、こんな生活を送っていて健康を損なわないはずはないと思います。

実際、ヘルニアを発症して運送会社を辞めざるを得なくなりました。

 

さらに、生活費を稼がなくてはならないというプレッシャーが影響したのか、

鬱常態になってしまい、医者から仕事に対するドクターストップがかかってしまいました。

 

僕は途方にくれました。

これからどうしようかと思いました。

家賃が払えない、光熱費も払えない、食べることもできない。

今は辛うじて繋がっている携帯電話も近いうちに止まってしまう。

 

そう思い悩んだ時に頭をよぎったのが「生活保護の受給」でした。

正直な話、当事はテレビなどの影響で「生活保護」には悪いイメージを持っており、

できれば保護を受けたくない、という気持ちもありました。

 

ですが、背に腹は耐えられません。

僕が住んでいる地区を担当している生活福祉の担当者のところに電話をして相談に行きました。

早めに着いてしまったので、少し待つことになったのですが、正直生きた心地がしませんでした。

失礼な言い方ですが、「僕もついに生活保護を貪る奴らと同レベルになったのか」と、

当時の僕は不遜にも思っていました。

 

そして、実際に面談が始まったのですが、始まってみると、恫喝されるんじゃないか、

警察並みの取り調べを受けるんじゃないか、と感じていた不安が嘘のように、

優しく物腰の穏やかな方が僕の話を懇々と聞いてくれました。

 

僕が家賃や光熱費が払えず、食費もない、携帯電話もあと数日で止まる、

という話を聴いた相談員の方は、少し調査をさせて下さい、と言って、

親族の連絡先と所有する金融機関名を聞かれました。

実際に金融機関や実家に金融資産がないかを調べられたようです。

 

とはいっても、当時の僕に残されている金融資産といったら、銀行に入っていた数十円だけ、

実家は両親が癌を患っており、とても僕の面倒まで見ていられない状態でしたので、

結果として、生活保護の受給許可を頂きました。

 

家賃補助も含めて約12万円が僕に支給されていた金額です。

これだけあれば、生活保護を受けながら遊んで暮らせる、と甘い誘惑に駆られましたが、

その後に相談員の方からの説明で、そんな甘い夢はすぐに打ち砕かれました。

 

1円でも収入があったら必ず報告すること。

定期的に相談員に連絡を入れること。

不定期の相談員の訪問を受け入れること。

生活必需品以外の物品を保持しないこと。

定期的にハローワークに通って職を探すごと。

探した仕事、面接をした日時、その結果を報告すること。

 

これでは本当に生きて行くだけしかできない、自由が無い、というのが当時の本音でした。

しかし、だからこそ、一日でも早く仕事を見つけ、生活基盤を整えて、

生活保護を受けない状態にしたい、と思えたのも確かです。

 

僕が実体験から感じた「生活保護」の実体は、テレビやメディアで言うほど悪いものでは無いと思います。

勿論、不正受給や、ニートが生活保護を受けて遊び歩いているなど、問題点もありますが、

この生活保護という制度があるからこそ、生きることすらままならない状態まで落ちてしまっった人が

再起する機会があるのだと思いました。

 

蛇足ですが、就職先が決まり、そのことを相談員の方に報告すると、

最初の給料が入る月は、給料分を差し引いた額の保護費を頂き、翌月以降は給料も満額でるので、

生活していけるため、その時点で生活保護の打ち切りが決定しました。

 

元々は僕自身の甘さから始まった生活保護受給について、

最後まで親身に対応して頂いたケースワーカーの方、職業相談をして頂いた指導員の方、

僕を雇って頂いた会社様、そしてなによりも、皆様の大切な税金を使わせて頂いた東大阪市民の皆様には、

本当に感謝しています。

この場を借りて本当に心からお礼申し上げます。ありがとうございました。



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