かつての知人が生活保護を受けていたことがあります。
その人は当時80代後半の女性でしたが、
70代後半まで働いていたものの貯金もなく年金も加入していない状態でした。
そのため、市のほうで相談して生活保護を受けることになったそうです。
生活保護なので介護に関する費用やNHKの受信料などは無料になっていましたが、
食費や光熱費を生活保護費から支払っており、
毎月余裕がない状態になっていたそうです。
住んでいる家は一応親族の持ち家なので家賃はないのですが、
相当年季の入った家で修繕をしなければちょっと大きめの地震が来てしまった場合
倒壊する危険性が高いというふうに判断されました。
しかし生活保護のため自宅を修繕する費用は一切なく、
このまま住み続けるしかない状態が続いていました。
またここ最近法律で住宅にも火災警報器を設置しなければならないという決まりが出来たときは、
その火災警報器も購入する余裕がなかったようです。
さらにテレビが地デジになった時もテレビを買い替えることができず、
楽しみだったテレビが見られなくなると不安になっていたそうです。
生活保護は受けていても、一応食べることやライフラインに関しては支払いできるものの、
思わぬ出費が必要になったら支払う余裕はなく、あきらめざるを得ないこともあるのだと思いました。
生活保護を受けるとどちらかといえば働けるときにきちんと貯金したりしていなかった、
とか金銭的にだらしがなかったとかいうふうに否定的にとらえられがちですが、
その人の場合はきちんと働いていたものの、
そこで共同生活をしていて給料分は全て食費や光熱費として徴収され、
それ以外はお金を手にすることはほとんどなかったといいます。
そして80歳手前になったある日、突然その共同生活から出るように言われ、
お金も持たないまま身内の家に飛び込んだという感じだったそうです。
それを聞いて彼女のようにそれまで真面目に働いていたような人が、
いきなり生活保護を受けなければならないようになってしまうような状況が存在するのが
問題なのではないかと思いました。
生活保護は確かにどんな人でも最低限の生活をするのに必要なセーフティーネットですが、
生活保護を受けなければいけないような状況を作らないようにする対策も必要だと思いますし、
労働をしている人に対して賃金がきちんと支払われているかとか、
不当な扱いを受けていないかどうかをしっかり監視するべきだと私は思っています。