私の世帯(世帯主は母です)は、生活保護を受けています。
私の家はもともと、裕福なほうではありませんでした。
父は、私が幼いころに亡くなり、母がパートに出て、私と兄と妹の、3兄妹を育ててくれました。
そんな母も病弱でしたので、やがて、パートにも出られなくなり、内職をして家計をやりくりしていたようです。
幼かった私には、あまり細かいことは分かりませんでしたが、それでも、生活保護は受けていなかったようです。
やがて、兄は中卒で、私と妹は高卒で、就職したので、働き手が3人になり、
それなりの暮らしができるようになったのも、つかの間、
私は遅刻が多いとの理由で、解雇されてしまいました。
私は、自分を責めましたが、理由がありました。
私はアルバイトを始めましたが、やがて、そこでも遅刻が多くなり、辞めてしまいました。
アルバイトしている間に分かった事ですが、私は、「強迫性障害」という精神病にかかっていました。
どんな病気かは割愛しますが、外に働きに出ることが難しくなってしまいました。
それと、ほぼ、時を同じくして、兄は仕事の都合で、家を出てしまいました。
もう、その頃には、母は働けるような体ではありませんでした。
母と私と妹の3人暮らしの家計は、高卒女子の妹の収入に頼らざるを得なくなりました。
ここでやっと、母は役所に相談して、結果、生活保護を受けることになりました。
生活保護というものは、色々な努力をして、それでもなお、生活に困窮した場合に、
その不足分を補うものらしいので、妹の月収が多くても少なくても、
生活にかけることの出来るお金は、一緒でした。
しばらく、そういう暮らしをしていましたが、ある時、勧誘の電話がかかってきました。
「パソコンを差し上げるので、NTTの光回線を引いてくれないか」というものでした。
実は、私は会社員時代にプログラマをしていたこともあって、贅沢と思われるかも知れませんが、
ネット環境のない当時の暮らしが退屈でした。
私はもろ手を挙げて賛成しましたが、事務職だった妹はともかく、
戦中生まれの母は、何やら、訳の分からない、金のかかるファミコンみたいなものが、家の中に入ってくる、
と感じたようで、あまりいい顔をしませんでした。
私は、母を説き伏せて、「役所のケースワーカーさんがいいと言ってくれるなら」との言質を取り付けました。
さっそく、役所に相談すると、「今の生活費の範囲内で出来うるものなら構いません」とおっしゃいました。
それまでの電話代と、ネット料金の差は、私の小遣いから、差し引かれることになりましたが、私は大満足でした。
それから、しばらくして、我が家にトコジラミ(南京虫)が大量発生しました。
彼らは夜行性らしく、寝ている間に家族の血を吸います。
なぜか、私の被害が一番大きく、寝ている間に、かゆくなってボリボリひっかくものですから、
朝起きると、噛まれた赤い跡と、ひっかいた傷が出来ていました。
私の皮膚は浅黒くなり、肌着や布団カバーは、寝返りを打って彼らがつぶされた時の血の跡や、
彼らのフンで汚れていきます。
洗濯してもほとんど落ちません。
また、物陰に住み着き、卵を産み、そこもフンで汚れていきます。
自分たちで駆除を試みたことも何回かありましたが、成功しませんでした。
完全駆除をうたう業者さんに頼もうにも、10万円以上かかってしまい、とても無理でした。
役所に相談しましたが、費用を工面してはくれませんでした。
それからずっと、現在も、被害は続き、就寝中にふと目覚めると、体中を彼らがはい回っているのですが、
それにも慣れてしまいました。
母や妹は夜中に起き出して、目に見える虫を取り除いているようですが、焼け石に水です。
こんな被害があっても役所は動いてくれないんだと正直、がっかりしています。
確かに、生活保護で、生きることに困らなくはなりましたが、こんな日々には辟易してしまいます。
貯金でも、何でもして、駆除できるお金を準備したいところですが、
そんなお金があったら、生活費に回せと役所は言ってくるに違いありません。
そして、受給額はカットされるでしょう。
生活保護を受けるのもよしあしかも知れません。