私たち若い世代にとって、「生活保護」を申請することのはハードルは年々下がってきていると思います。
しかし私の周りの現在60代、70代以上の方を見ていて、
生活保護は恥であるという考えが強いように思います。
物がない時代を過ごし、生活保護を受けずとも節約しながら苦労している背景からとも考えられます。
私は要介護状態の義理の母にかかる費用面で大変苦労しました。
義母は年金を受給しておらず、収入がゼロでした。
というのも、一昔前の女性の働き方は、外ではなく内職をして生計を支える方も多く、厚生年金はありません。
また、生活に余裕がなく、国民年金の掛け金を(払いたくても)払えなかったのです。
ですから、当然貯蓄もほぼありませんでした。
あくまで当時の数字ですが、毎月
・オムツ3万
・介護保険の負担分(30万円分の介護サービスを使っていたので1/10の)3万
・食事代(栄養管理した刻み食)3万
・その他、通院、お薬代、介護保険料
(寝たきりになっても収入がゼロでも、保険料は払わなければなりません)
介護にかかる費用は最低でも月10万以上あり、
私たち息子夫婦に全ての費用がのしかかります。
施設(大部屋)に入ればもう少し費用は抑えられたのですが、
主人自身が、施設に入れることも、生活保護を受けるよう説得することも反対でした。
費用の捻出のため、2人でフルタイムで働いていたので子供を保育所に入れました。
自分達の生活費に加え、働けば働くほど高額になる保育料を払い、
上記の母にかかる費用全てを持ち、
まだ生まれたばかりの子供の養育費の貯蓄、自分達の老後の貯蓄…
もう自分の家族のことは、破たんしていました。
生活保護は、他に援助してくれる人はいないのか親族に確認の文書が送られるのですが、
そこには息子だけでなく、姉妹、親(生きていればですが)も含まれます。
これらの方が全員「援助できない」と返信して初めて生活保護の需給の条件の1つがクリアとなります。
義母の場合、姉妹はいましたが年齢的に年金生活で、
病気を持ちながら余裕のない生活をされていたので
私たち夫婦以外に頼るところはありませんでした。
かといって、私たち夫婦ももう限界です。
何度も主人と大喧嘩をした末、生活保護の話を少しだけ義母に出してもらうことにしましたが、
「生活保護を受けるくらいなら自殺する」と義母が泣き出し、結局生活保護の話は出せなくなりました。
(といっても、全身のマヒで自分でどうにかできる体ではなかったので、そういう意味では安心していました)
数カ月後、容体が急変し結局生活保護を受けることなく天国に行ってしまいましたが、
このときだけは、どれだけ息子夫婦(もちろん孫にも)に迷惑をかけることになるのか、
義母を心底恨みました。
恥だろうが何だろうが、収入も貯蓄もないのだから、自身の状況を受け入れてほしかった。
自身の状況を受け入れて、生活保護を受け、孫の成長を共に見ながら長生きしてほしかった。
今でも、天国の義母にはそんな思いが残っています。