東京都在住の高齢の単身者が生活保護を受ける場合、
生活保護費はだいたい月額14万円ほどになります。
一方、国民年金は満額支給額でも月額6万円ほど。
20歳から60歳まで国民年金に加入し、
40年間の保険料をすべて納めた人の受け取る年金額よりも、
全く年金をかけておらず、年金受給資格のない人が
生活保護で受け取る月額の方が、なんと2倍以上も高いのです。
ちなみに、年金を満額受給していて、
それでも生活が成り立たず生活保護を受けた場合の生活保護支給額は、
最低生活費から年金収入分を引いた差額が支給されることになります。
つまり、生活保護を受けた場合、年金を満額受給できる人も、
全く無年金の人も、最低生活費は同じになるということです。
さらに、生活保護を受けている場合、国民健康保険や国民年金の掛金は払わずに、
将来は掛金を払ったのと同じ待遇を受けることができます。
生活保護の受給者はその間、法定免除期間として扱われ、
将来満額の3分の1に相当する金額が受給できるのです。
たとえ20歳から60歳までずっと生活保護のお世話になって保険料を払わなかった場合でも、
65歳を過ぎてから国民年金をもらう権利を持つことになります。
これが年金制度と生活保護の実態ですから、
年金は払い損だと思う人が出てきても不思議ではありません。
そもそも、基礎年金には、「最低限の生活を保障する」といった目的はありません。
基礎年金はあくまで食費を中心とした基礎的な部分を保障しているからです。
その結果、年金が少ないために、それだけでは生活できず、
不足分を生活保護に頼らざるを得ない状況の人が大勢いるのです。